2009年に尾上菊之丞さん(日本舞踊)と茂山逸平さん(狂言)が立ち上げた「逸青会」。古典作品の上演に加え、伝統芸能の枠を越えさまざまな表現に挑戦する「新作」を創り続けていらっしゃいます。16回目となる本年、新作「おじぞうさん」にて、小野寺修二が参加させていただきます。
一、【舞踊】
「山姥」(常磐津) 尾上菊之丞
元遊女であった山姥は足柄山に籠り、我が子怪童丸を育てています。四季の流れにそって語り聞かせるのが「山めぐり」の舞。怪童丸は源頼光に取り立てられ山を下りますが、山姥はその立身出世を祝い、また山へと戻って行くのでした。
二、【狂言】
「文蔵」茂山逸平 島田洋海
無断欠勤をした太郎冠者。都の伯父にご馳走して貰った料理を忘れてしまったが、日頃主人が読んでいる戦物語の中にあるものを食べたと言います。気になる主人は思い出させる為に源頼朝が挙兵した際の「石橋山の合戦」の物語を語って聞かせるのですが…
三、【新作】
「おじぞうさん」/小野寺修二・尾上菊之丞・茂山逸平
一、【舞踊】
「長唄 水仙丹前」尾上菊之丞
江戸前期に誕生した「丹前風呂」からは、当時最先端の様々な風俗が生まれました。その風情を残した古風な曲で、紅葉づくし、恋づくしなど大らかな言葉遊びで綴られています。若衆の姿をギリシャ神話にも登場する水仙の花になぞらえた作品です。
二、【狂言】
「長光」茂山逸平 茂山慶和 茂山七五三
歌舞伎舞踊「太刀盗人」の元曲になった狂言。都で裁判が終わった田舎者が故郷への土産を探しに寺町の市場へ。現れたのは都のすっぱ(詐欺師)。売り物に夢中な田舎者の持っている太刀を奪い取る為にあの手この手を使います。
三、【新作】
「おじぞうさん」/小野寺修二・尾上菊之丞・茂山逸平
一、【舞踊】
「長唄 浦島」尾上菊之丞
昔話でご存知の「浦島太郎」。舞踊では太郎が竜宮城から戻ってくるところから始まります。竜宮での乙姫との思い出を比翼の蝶に例え、様々の扇のテクニックを見せながら回想します。やがて、土産の玉手箱を開くと…
二、【狂言】
「伊文字」茂山逸平 茂山七五三 島田洋海
妻の欲しい主人が太郎冠者を連れて神頼みに参詣するとある御告げを授かります。
御告げの場所には美しい被衣を着た女性が確かに立っていて、自分の家を和歌に読み込んで教えるのですが、肝心の和歌を太郎冠者が忘れてしまいます。困った二人は歌関を作って道行人に尋ねる事にするのですが…
三、【新作】
「おじぞうさん」/小野寺修二・尾上菊之丞・茂山逸平
一、【舞踊】「常磐津 粟餅」 尾上菊之丞 尾上京
往来で芸を披露しながら粟餅を売った夫婦の踊りで、餅の曲搗きに始まり、餅づくしの四季の風情、六歌仙の踊り分け、団扇太鼓のリズミカルな踊りなど、江戸時代の物売りの風情をうつしたおおらかで楽しい舞踊です。
二、【狂言】「太刀奪」茂山逸平 島田洋海 鈴木実
北野天満宮のお祭りに出かけた主人と太郎冠者。参詣人の太刀を羨む主人に太郎冠者が太刀を奪うある提案をするのですが案の定失敗に終わり、逆に刀を取られてしまいます。何とかして取り返したい二人は待ち伏せするのですが…
三、【新作】
「おじぞうさん」/小野寺修二・尾上菊之丞・茂山逸平
街中に佇む一体の石地蔵。そこに夜な夜なやって来ては人を脅かす為に石地蔵の影に隠れている豆腐小僧。しかし彼は怖がられた事が無い。今日こそは!と、また身を隠す豆腐小僧のもとにやって来たのは一人の酔っ払い。酔っ払いならば怖がってくれるだろうと、脅かすと彼も実は一貫小僧という妖怪で、彼も今では人間を脅かす場所が無くただ飲み歩くだけの毎日だと言う。互いに人間を怖がらせる方法を画策するが、どうにも上手くいかず、困りはてた二人は「神頼み」ならぬ「地蔵頼み」をすると、何と地蔵の正体が?!
作曲 :藤舎貴生
常磐津:常磐津文字兵衛/常磐津兼太夫社中
長唄 :今藤政貴社中/杵屋栄八郎社中
囃子 :藤舎貴生社中
尾上流事務所 03-3541-6344